10／19（水）、パラ陸上選手“稲葉統也”様をお迎えし、4・6年生を対象に、講演会が行われました。視覚障害を乗り越え、パラ陸上の競技者として御活躍されている御自身の経験をもとに、「今が幸せなら過去も幸せ　未来もずっと幸せ」という内容で、お話をしてくださいました。

逞しい体とあふれるような笑顔で子供たちの前に立った稲葉さん…光を失った悲しみを乗り越え、目が見えないことを幸せと感じるようになるまでの体験談が始まると、子供たちはたちまちそのなかに引き込まれていきました。

30歳で突然目が見えなくなったこと、一時は悲しみに沈んでいたけれどご家族の励ましで立ち直ったこと、努力してひとつひとつできることを身につけていき、パラ陸上の選手として数々の記録を打ち立てるまでになったこと、今ではお一人で外国にまで行けるようになったこと等…ひとつひとつのできごとを、まさに“目に見えるように”お話ししてくださいました。

たとえば街の中を歩く時、「信号機の音や日光の来る方向で方角がわかること」、「車の音がどの方向から聞こえるかで信号の色がわかること」「ファミレスや食堂の匂いで、街のどのあたりかがわかること」等。五感と知恵をフルに働かせて生活していることに、感嘆の声を上げていた子供たち・・・尊敬の気持ちを持つと同時に、「やればできるんだ」という自信をもらったようでした。

「目が見えずに道を歩いていて大変なことはありませんか。」「僕はスポーツをやっていて練習が嫌になってしまうこともあるけど、そんなことはありませんか。」等の子供たちの質問にも丁寧に応えてくださいました。「用水路に落ちたり、木の枝が額に当たったり危険なことは数多くあるけど、怖がらないで進んでいくこと。そうすることで“感じる力や予測する力”が身についてきます。　それらは“目が見えなかったからこそ身についてきた力”です。そうなった自分に感謝しています。」「大変なことをやり遂げた後は自分のことをほめること　そして自分の体をいたわってあげるようにしてください。」等、1人1人を励ますような言葉に、子供たちは大きな安心感を得ていたようでした。

「できないことを悲しんだり人と比べたりしない　自分のよさを精一杯伸ばすこと　同じように頑張っている友達をほめること」「今が幸せだと感じれば、過去にどんなことがあってもそれは幸せな思い出になります。そうなれば、未来は幸せだけが待っています。」これからも子供たちの心にずっと残り続けるであろう、かけがえのないメッセージを残してくれた講演会となりました。

稲葉様　すてきなお話をお聴かせいただき、ありがとうございました。